歩行は私たちの日常生活において欠かすことのできない動作の一つです。
しかし、加齢とともに身体機能に低下がみられ、歩行が不安定になってしまう方も少なくありません。
その歩行をサポートする福祉用具として、おすすめしたいのが歩行器です。
ただし、歩行器はからだの状態に合った物、使用する環境に適した物を選ばないと、かえって危険を伴うケースもあり、利用の際は注意しなければいけません。
今回は歩行器のメリット・デメリットと種類についてご紹介します。
目次
なぜ歩行が困難になるのか?
高齢者の歩行が困難になる原因の一つに、加齢による筋力低下やバランス力の低下があります。
身体機能の低下などによって歩行の機会が減ってしまうことで、筋力が低下し、バランスをとりづらくなります。
2つ目に、運動器(からだを動かす仕組み)の病気によるものがあります。
運動器の病気として代表的なのが、変形性関節症、変形性脊椎症、骨粗しょう症、サルコペニアです。
これらの病気が要因となり、痛みが生じたり、関節を動かせる範囲が狭くなってしまうことがあります。
歩行器が必要になるタイミング
歩行の支援が必要になるタイミングとして以下の状況が当てはまります。
該当するようであれば、歩行器を利用する事で問題を解決できる可能性があります。
①立ち上がる時に時間がかかる
②立ち上がった姿勢の際にふらつきがある
③まっすぐな姿勢で立位保持ができない
④片足立ちができない
⑤つまずく事が増えた
⑥転倒する事が多くなった
⑦高齢になってから膝関節や股関節の手術をした経験がある
屋内外の転倒リスクと主な原因
高齢者の事故の原因として、最も多いのは転倒です。
視力が低下し、視野が狭くなってくると自分が思っている動作と実際の動作に違いが生まれ、ちょっとした段差でつまずいたり、転倒してしまうことがあります。
屋内外での転倒しやすい場所として次の場所が挙げられます。
原因としては、どちらの場合も「すべり・段差・障害物」が関係してきます。
屋内
①浴室
②玄関
③敷居
④家電のコードが這っているような居間
屋外
①大理石のような摩擦の少ない床
②雨に濡れたマンホール
③一段高くなった歩道
④駐車場の車止めや歩道の縁石
歩行器を利用するメリット・デメリットと種類
歩行の機会を増やし、なおかつ安全に歩行を行うために利用を検討したい歩行器ですが、人によってはメリットとデメリットがあります。
歩行器のメリット・デメリット
メリット
①下肢の筋力低下を補える
②ふらつきや転倒の防止
③下肢にかかる負担軽減
④歩行の際の安全性の向上
⑤荷重の時や運動の時の痛みを軽減
⑥行動範囲を拡大できる
デメリット
①身体状況に合わない物を使うとからだに負担がかかる
②介護用品という見た目やイメージから抵抗を感じ、ストレスにつながる
歩行器の種類
機能面ばかりに目が行きがちな福祉用品ですが、近年では機能性だけではなくデザイン性の高い物も増え、性別を問わず利用できる歩行器も増えてきています。
歩行器の種類と特徴をご紹介します。
固定式歩行器
最もスタンダードなタイプで、安全性にも優れています。からだの全面と側面をコの字で囲むようなフレームになっていて両手でハンドグリップを掴んでからだを支えます。
移動の速度は遅いので、屋内での使用に適しています。
上半身にある程度の筋力がある方や、杖だけでは歩行が不安定になる方に適しています。
《セーフティアームウォーカーCタイプ》
交互式歩行器
固定型と似たような構造ですが、左右のフレームをそれぞれ動かすことができます。
固定型よりもバランス機能が必要になりますが、左右どちらかの足が常に地面に接しているため安定性が高くなります。
片足に痛みのある方や、姿勢のバランスが取りにくく歩行が困難な方に適しています。
《セーフティアーム交互式歩行器》
キャスター付き歩行器
左右のフレームの下にキャスターや車輪が付いていて、押しながら歩きます。
両手で支えながら歩くタイプと、肘など両腕で支えながら歩くタイプの物があります。
ハンドブレーキや腰かけ、買い物に便利な荷物入れがついた物があります。
足腰に痛みのある方、筋力の弱い方、リハビリを始めたばかりの方などに適しています。
《セーフティアームウォーカーMタイプ》
《アルコー1S型》
《ハッピーミニ》
《リトルターン》
歩行器の選び方
歩行器はからだの状態に合わせて適切なものを選ばないと、症状が悪化するなどの逆効果に繋がることがあり、転倒などの事故にも繋がり危険です。
利用する場所や目的を明確にする。
バリアフリーや室内であれば、どんなタイプの歩行器でも使うことはできますが、段差がある環境の場合は、持ち上げが出来ないものは適しません。
また、車などに乗って移動した時や買い物の際に使いたいなどの、使用するシーンによっても選ぶものは変わります。
からだの状態に合ったものを選ぶ
筋力の状態や歩行のレベル、体力にも配慮する必要があります。
脚だけでなく、腕などの上半身の筋力、左右のバランスなども見極めながら適切なものを選びましょう。
体格にあったサイズや高さに調整する
歩行器は主に手や腕を使って安定させるため、グリップの位置が高いと腕に負担がかかり、低いと不自然な前傾姿勢になってしまい、症状を悪化させる恐れがあります。
高さの調整ができる物を選び、専門家と相談しながら選ぶと良いでしょう。
歩行器は介護保険を使ってレンタルができます
歩行器は介護保険でレンタルができる福祉用具です。
介護保険により費用の1割(所得によっては2割または3割)を自己負担すればレンタルすることができます。
レンタルをした場合にかかる自己負担の費用は1割負担の方で、だいたい200円~700円程度です。
また、ダスキンヘルスレントには専門知識を持った福祉用具専門相談員がいます。
からだの状態に合ったものを選ばないと症状を悪化させてしまうこともありますので、専門的な知識をもったスタッフに相談しながら正しく選ぶことが重要なポイントです。
介護をする方も自立歩行をしてもらうことで、介護の負担を減らすことが出来ます。
介護の事でお困りの際には、ぜひダスキンヘルスレントへご相談ください。